2020.03.10

「漫画家」になっていたかも…!?  Vol.1 テレビプロデューサー 栗原 甚さん

さまざまな分野で活躍する有名人の方々を直撃インタビュー。

もしも今の仕事をしていなかったら、どんな職業を選んでいたかを想像していただきました。どんなお話が飛び出すでしょうか。

 

Vol.1 テレビプロデューサー 栗原 甚さん

『ぐるぐるナインティナイン』『踊る!さんま御殿!!』など数々の人気番組を手がけてきた日本テレビ・プロデューサーの栗原 甚さん。低予算の深夜番組からスタートし、世界40カ国以上で現地版が制作される伝説的人気番組『¥マネーの虎』の生みの親であり、最近では実写化の許諾が長年下りなかった『天才バカボン』のドラマ化を実現するなどテレビ界に常に新風を巻き起こす存在です。

そんな栗原さんがかつて憧れ、別の人生があったら、就いてみたかった職業とは?

くりはら・じん●北海道生まれ。93年、大学の商学部卒業後、日本テレビ入社。2001年から04年まで放送された投資バラエティ番組『¥マネーの虎』を企画・総合演出・プロデュース。『¥マネーの虎』は大人気番組となり、日本で放送終了後、海外へ輸出。現地版を製作する際には自ら世界各国へ出向き、演出・監修指導に携わる。世界40カ国以上に番組制作のマニュアルが販売され、現在184の国と地域で放送されている。その後も『さんま&SMAP 美女と野獣スペシャル』『伊東家の食卓』『行列のできる法律相談所』『松本人志中居正広VS日本テレビ』『ぐるぐるナインティナイン』『踊る!さんま御殿!!』など数々の人気番組を担当。13年からドラマ制作も兼任し、伝説のギャグ漫画『天才バカボン』を実写ドラマ化。これまでに3作が放送されている。

 

――テレビのプロデューサーになっていなかったら、どんな仕事をされていたと思いますか?

それは昔から決まっているんです(笑)。

 

――何でしょう?

漫画家です。子どものころの僕は漫画が大好きで『天才バカボン』や『ドラえもん』など当時出ていた作品を片っ端から読んでいました。なかでもお気に入りだったのが7歳の時に親戚にもらった『赤塚不二夫1000ページ』というマンガ雑誌。面白くて、面白くて、毎日、擦り切れるまで読みました。

蕎麦が好きな人が蕎麦打ちを始めたり、スポーツのアニメをきっかけに何かの競技を始めたり、何でも好きが高じると、自分でやりたくなったりするじゃないですか。僕も漫画好きが高じて自分でも描きはじめ、小学生時代は漫画家を目指していました。実は当時、つてを頼って赤塚不二夫さんにお会いし、「将来漫画家になるには、どうすればいいんですか?」と質問したこともあるんですよ。

 

――なんと! 赤塚さんはどうお答えになったんですか?

「今日から漫画を描くのはやめて、勉強しなさい! 本気で漫画家になりたいなら、たくさん勉強して、とにかく頭の良い大学に行きなさい! 大学に入って、もしまだ漫画家になりたかったら、弟子にしてあげる」と言って、記念に直筆のサイン色紙をくださったんです。お言葉通りに漫画断ちし、それっきり漫画家の夢も赤塚さんにお会いしたことも記憶の彼方にありました(笑)。

記憶がよみがえってきたのは、くりぃむしちゅー・上田晋也さんの「『天才バカボン』を実写化したい」という熱い思いを知り、何とか道を開けないかと原作を全巻読み返したときです。35年以上の時を越えてもう一度読んだ『天才バカボン』は、やっぱり面白かった! 漫画はあまたありますが、圧倒的なヒット作品というのは単純に絵が上手かったり、尖った「笑い」があるというよりは、メッセージというか、表現の「核」のようなものを持っていると思うんですね。それは僕がテレビ番組を作る時に大切にしてきたこととも共通していて、感性の豊かな若い時期に漫画に没頭したことが、自分に大きな影響を与えたことに気づかされました。

漫画でも野球でもファッションでも、何かをとことん好きになった先に見えてくるもの、学ぶものの中にはあらゆるジャンルに通用する本質的な要素が必ずあって、それはどんな仕事に就いても生きてくるものだと思います。だから、「特技」とまでは行かなくても、好きでたまらないものを持つのは素敵なことですよね。

 

<就活生の「つぶやき」コーナー>

就活生から寄せられた「つぶやき」に栗原 甚さんからのコメントをいただきました。

 

<栗原 甚さんチョイスの「つぶやき」>

予想以上にやることが多く、忙しくて不安。また、面接で言いたいことをうまく伝えることができず、苦労しています。

(就職プロセス調査 大学生・文系・関東)

 

 


「やることが多く、忙しくて不安」かあ…。そういうことって、よくありますよね。


あれもこれもやらなければと焦る気持ちはすごくよくわかります。そういう時はまず、やることを整理するといいんです。業界や会社ごとに内定までにやることをノートに書き出してみる。すると、たいていは「あれ? 思ったほど多くないな」と思うものです。

「やっぱり多いな」と感じたら、優先順位をつけて、優先度の低いものは捨ててしまうことも大事です。例えば、就職活動をしていると、A社とB社の面接が重なってしまうこともあります。そんなときあらかじめ優先順位を考えておけば、あれやこれやと思い悩む時間をなくせます。

期限までにやることを整理し、優先順位をつけて実行していくというのは就職してからもすごく大切なので、今のうちに習慣化しておくといいと思いますよ。

それから、面接で言いたいことを伝えるために大切なのは、自分の言葉で話すことじゃないかな。敬語もきちんと使えるのは素晴らしいことだけど、気にし過ぎない方がいいと僕は思います。言葉を選んでいると、相手に自分の思いが伝わりにくくなるから。

僕自身の話をすると、就職活動で、ある食品メーカーに応募し、その会社の商品のことを「めちゃくちゃまずくて、なんでこんなものを出すのかと思いました」と面接でぶっちゃけたことがあります。でも、面接してくださった役員の方は怒るどころか、面白がって僕の意見を聞いてくれ、内定までいただきました。

包容力のある会社だったことも大きいと思いますが、僕の話に耳を傾けてもらえた理由はそれだけではない気がしています。僕は奇をてらって「まずい」と言ったのではありません。「まずい」と言った商品について「1回ではおいしさがわからないかもしれない…と思い、3回買って飲んだ。でも、まずかったんです!」と話しました。企業研究もしっかりして面接に臨みましたし、僕が本気でその会社に興味を持っていることはわかってもらえていたはずです。そのうえで伝えた言葉だからこそ、関心を持ってもらえたんじゃないかなと思うんです。

つまり、伝え方以上に大切なのは、伝えようとすることにあなた自身の思いがあるかどうか。それさえあれば、表現がつたなかったとしても、言いたいことは相手に伝わるはずですよ。

 

Information

栗原さんの著書『すごい準備 誰でもできるけど、誰もやっていない成功のコツ!』(アスコム)。25年のキャリアで培った「ヒットの秘密」や「相手の心を動かす技術」のキモは「準備」にあった! 相手に自分の思いを伝えるための「準備ノート」のつくり方や「口説きの戦略図」など具体的なメソッド満載の、就職活動生や社会人1年生にも役立つ実践バイブル。テレビ制作のマル秘裏話を知ることができるエピソードもふんだんに語られている。

 

取材・文/泉 彩子 撮影/鈴木慶子 

 

栗原甚さんが「一緒に働きたい人」とは?

【INTERVIEW こんな人と働きたい!】バックナンバー