2020.10.30

Vol.13 株式会社白山 【新型コロナウイルス感染症に関する企業の取り組み】

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業と学生のコミュニケーションの在り方が大きく変化している。対面で行われていた説明会や面接などがオンライン化し、時間的・金銭的な学生の負荷は軽減。一方、「話が伝わっていないのでは?」「面接の評価が低くなるのでは?」といった学生の不安の声も大きい。そこで、すでに学生とのコミュニケーション手法の改革を実践している企業に利点や課題、学生へのメッセージを伺った。

オンラインでも、企業と学生の
相互理解を深めることを大切に

株式会社白山
経営管理本部 石川エリア統括 中川義昭さん(左)
R&D部門 部門長 内田健太郎 さん(右)

※記事は、2020年9月29日にオンライン取材した内容で掲載しております。

 

COMPANY PROFILE

光通信に欠かせないケーブル用コネクタや、災害時に電源を守ったりバックアップ電力を供給したりする装置を開発・製造。1947年に東京都で創業し、現在は石川県に本社を構える。近年は主に中途採用を行っていたが、新しい事業や製品を生み出していく人材をじっくりと育てるために、2019年度(2021年卒学生)から本格的な新卒採用活動を開始した。

 

インターンシップをオンラインで実施することになった経緯は?

 

中川さん:これからの会社の成長を考えると、今すぐ戦力になる経験者だけでなく、新卒採用で若い人も育てていかないとと思い、昨年度、3年ぶりに本格的な新卒採用を再開することにしました。現在社員の平均年齢は40代半ばで、20代、30代が少ない。10年後を考えると、若い人の採用が必要です。特に、理系学生採用は、現場の強い要望もありました。
 
しかし今年に入り、インターンシップもやりたいなと思っていたところで、新型コロナウイルス感染症が流行。対面での実施は難しくなりましたが、石川県の「ジョブカフェ石川」にも相談して、オンラインでのインターンシップが実現できないかを模索し始めました。何もしないよりはできることをやろう。そうすることでより良い採用につなげたい。そんな思いがあったからです。
 
内田さん:当社は石川県、東京都、埼玉県にそれぞれ複数の拠点があり、これまでもテレビ会議は日常的に行っていたため、「オンライン」ということには特に抵抗感はありませんでした。ただ、オンラインでインターンシップを実施するからには、それなりの工夫が必要だろうなとは思いました。

 
 

オンラインでインターンシップを実施するために工夫したことは?

 

内田さん:オンラインでも、できるだけ現場の仕事を実感してもらえるようなプログラムにしました。当然まずは会社紹介をしますが、そのあとは2日間に渡って「光開発部門」と「R&D部門」がそれぞれの事業内容について詳しく説明し、さらにそれぞれの事業に関係するお題を出して、学生同士でディスカッションをしてもらうことにしました。
 
例えば、私が部門長を務める「R&D部門」では、現在当社が実際に開発を進めている製品について説明し、皆さんだったらこの製品をどう事業化しますか?というテーマで学生に考えてもらうことに。こういった議題で話し合うのは実際に社内でも起き得ることですし、正解がないテーマを考えてもらうことで、参加学生にも自分ごととして捉えてもらえたと思います。進め方も、私を参加学生の上司という設定にして「適宜、相談や質問をしてもOK」「でも結論は自分たちで導き出して、納得のいく説明をすること」としました。「どっちがいいですか?」と私に答えを求めてきたときは突っぱねたりして。
 
中川さん:このように、現場の社員にインターンシップの内容を考えてもらい、当日も運営してもらったのも工夫のひとつです。そうすることで、学生がより当社の理解を深めることができると考えたからです。また、現場の社員と企画段階から一緒に取り組むことで、スムーズにインターンシップを企画・運営することができます。「光開発部門」の方も同様に、現場の社員に企画・運営してもらいました。
 
また、オンラインでもできるだけ現場感をつかんでもらえるよう、360度カメラを使って工場内の複数の箇所を撮影し、それをつなげてバーチャル工場見学を実施しました。これは学生からも「普通の写真よりも工場内の様子がわかった」と好評で、準備した甲斐がありました。
 
 

オンラインで実施してみて良かった点、気になった点は?

 

中川さん:実は今回ご紹介したオンラインインターンシップとは別に、1週間のオフラインインターンシップも実施しています。これも継続はしていきたいのですが、研究開発の現場で一緒に仕事をする内容なので、どうしても1名の学生しか受け入れができません。それと比べて今回のオンラインインターンシップは、4名の学生に同時に参加してもらい、さらに学生同士のディスカッションもしてもらうことができました。
 
内田さん:オンラインでも、ある学生がリーダーシップを発揮して議論をまとめる場面などがあり、学生一人ひとりの特長は見えてきましたし、期待以上に学生同士の話し合いも進んでいました。さらに、オンラインのインターンシップだと、学生が「選考されている」と感じにくいようで、より“素”の様子が見られたと思います。オンラインかつ短期間でも一定の成果が得られることがわかったのは、当社としても大きな学びです。
 
そして、なんと言っても今回は関東圏にお住まいの学生に参加してもらえたことが嬉しかったですね。石川県外の学生にも気軽にインターンシップ参加してもらえたのは、オンラインで実施したからだと思います。
 
中川さん:一方で、回線がつながらない参加者がいて、他の学生には少し待ってもらわなければならない場面もありました。ただ、IT機器やネットワークに強い社員がいますので、その社員から電話で連絡して解決することができました。こういったテクニカル面のサポートについては、事前に考えておくことが必要だと思います。

 
 

今後については?

 

中川さん:冬のインターンシップについては、今回と同様にオンラインで実施したいと考えています。その上で、さらに当社のことを理解してもらうために、どのようなプログラムにするのか。例えば、製品サンプルの実物を事前に送付して、実際に目で見たり触ったりしてもらうことも考えています。また、1日ごとに1つの部署を体験できるプログラムにして、今回よりもさらに複数の部署について理解してもらうこともできるかもしれません。
 

前回のインターンシップに参加した学生が再び参加しても、あるいは初めての学生が参加しても、双方が満足できるようにすることもひとつのポイントかなと思っています。同じ説明の繰り返しにせず、そして初見の人も置き去りにしない内容に。ぜひたくさんの学生に参加してほしいですね。

 
 

学生の皆さんへ

 

中川さん:まずはいろんなことに興味を持ち、インターンシップにどんどん参加してほしいです。何もせずに、いきなり「将来何をしたいか」などを考えるのは難しいと思いますので、自ら動いて情報収集することをおすすめします。
 
内田さん:世の中にはたくさんの企業があります。就職情報サイトに掲載されていなくても、都道府県の就職サポートサイトや企業のホームページを見れば、人材を募集していることはあります。今は新型コロナウイルス感染症でオンラインのインターンシップや会社説明会も増えています。せっかくなので遠方の企業のインターンシップや会社説明会にも参加してみてはいかがでしょうか。最初から決めつけずに、ぜひ多くの会社や職種に触れてみてください。

 

360度カメラを使ったバーチャル工場見学。
学生からは「普通の写真よりも実感を持てた」という声も。

 

学生同士でディスカッションをしている様子。
思った以上に学生一人ひとりの特長が見えたという。

 

社員から学生へレクチャーをしている場面。
「資料の共有がしやすい」のもオンラインの利点とのこと。

 

*インターンシップ参加学生の声*
 
・グループディスカッションでは、様々な発想・意見を持った学生と出会うことができました。今後大学の授業(特にゼミ)でもこのような案の作成や発表はあると思うので、今回のインターンを機に、能力向上に努めていきたいと考えています。
 
・今回オンラインでのインターンシップということでどこまで会社や仕事について理解を深めることができるのか不安でしたが、写真を使用した工場の見学や商品の説明(概要や実用性など)をしていただけたのでとてもわかりやすく参加できて良かったです。
 
・実際に熱発電モジュールの利用方法を斬新な学生視点で議論することができた。私たちの知識では的外れな意見になってしまうのではと危惧していたが、フィードバックをいただき、勉強になった。
 
・ネット上でディスカッションを行うことは、相手が同意しているのかがよくわからないことや、皆で話し合っている実感が少ないことがあり大変だった。しかし初めてだったので大変良い経験になった。ディスカッションの途中で、R&D部門の内田さんに熱発電について教えて頂くなど、知識に関する補助をして頂きディスカッションをスムーズに進めることができた。
 
・今まで光ファイバーやMTフェルールについて深く知る機会がなかったので、新しいことを知ることができて興味深かった。家庭で使えるネットは光ファイバーが支えていて、身近なものだと分かった。
 
・採用担当者様やR&D部門、光開発部門の方と多いに話すことができ、私が実際に働くとどのような様相になるのか、イメージする材料になりました。