2020.09.10

事例・データでひも解く 就職活動の不安やギモン Vol.5 志望動機で想いを伝えるにはどうすればいいの?

就職活動や就職に関するさまざまな情報が飛び交うなか、学生さんの本当の不安や悩み、ギモンは何でしょう? 学生さんとお話をしながら、一緒に考えてみました。

 
【お話してくれたのは…】

【一緒に考えたのは…】

 

志望の熱意を十分伝えているつもりなのに。これ以上どう深堀りすればいいの?

 

Mさん:就活を始めた当初は食品メーカーを中心に受けてきましたが、現在は幅を広げ、生活設備機器のメーカーや、モノづくりに欠かせない工具メーカーなどを受けています。
企業研究を深め、自分との接点を見つけて志望動機を伝えているのですが、面接で「Mさん自身の言葉で話してほしい」「Mさん自身が見えてこない」と言われてしまいます。一生懸命調べてきたのに…と頭が真っ白になり、どうしたらいいのか悩んでいます。
 
松井:具体的にどんな志望動機を伝えているか、教えていただけますか?
 
Mさん:私は、仕事を通じて「豊かな暮らしを作りたい」と思っています。工具メーカーの志望理由では、「豊かな暮らし」を支えるモノづくりの現場には工具の存在が大切だということ。技術者が効率的に作業しやすい工具づくりの提案をしていきたい、と話しました。

ただ、それだけでは私らしさが出ないので、技術者である私の父のエピソードを伝えています。父は「もっとこんな工具があったらいいのに」と普段からよく話しているので、その解決を図る仕事に就ければいいなと思っています。
 
松井:なるほど。工具メーカーの仕事内容と、Mさんにとって身近なお父さんの話を結び付けて志望動機を組み立てていったんですね。
 
Mさん:面接で、事業内容については「よく調べているね」と言ってもらったのですが、もっと“私ならではの想い”を話してほしいと言われて…。私なりに志望への熱意を伝えたつもりだったので、これからどう深堀りすればいいの?とわからなくなっています。

 

志望動機を通じて企業が知りたいのは、学生の「熱意」「人柄」「可能性」

 

増本:Mさんは、企業が志望動機を聞くときに知りたいことは、どんなことだと考えていますか。
 
Mさん:その会社のことをどれだけ知っているのか。あとは、自分の経験をどう生かせるのか…でしょうか。
 
増本:いいですね。就職みらい研究所では、企業に「採用選考では学生のどんなところを評価しているか」を聞いています。毎年のように上位に挙がるのは、「熱意」「人柄」「可能性」です。

増本:“会社のことをどれだけ調べているのか”は「熱意」につながり、経験から見えてくるのが「人柄」です。Mさんの話に欠けている視点があるとすれば、3つ目の「可能性」なのでは。Mさんがこれまで頑張ってきた経験は伝えられていても、その会社に入った後どんな仕事をしたいと思っているのかが、伝えられていないのかもしれません。
 
Mさん:面接では営業職志望を伝え、「お客様に親身に寄り添い、不安や要望を汲み取って、お客様が求める以上のものを提供できる人になりたい」と伝えています。それが“どんな仕事をしたいと思っているのか”だと思っていました。
 
増本:一度、志望業界や職種を離れてみて、「自分はどんな人生を歩みたいのか、どんな人間になりたいのか」を考えてみると、Mさん自身の話がもっと出てくるかもしれません。
 
Mさん:どんな人間になりたいのか…。漠然としているのですが、人の先頭に立って引っ張っていく、頼りにされる人になりたいかな。企業には、「5年後には組織のリーダーとして活躍したい」とも伝えています。
 
松井:Mさんは前にも、「リーダーになりたい」と言っていたと思うんだけど…どうしてリーダーになりたい!と思っているのか、あらためて聞かせていただけませんか?
 
Mさん:大学の経営ゼミで、ファシリテーターの役割を担ったことがきっかけになりました。

私は大学に入るまで、いつも周りの意見に流されていて、言いたいことがあっても言えないタイプでした。だからこそゼミでは、かつての私のような、話したくても発言できない人をなくしたい、と思ったんです。発言しないメンバーは課題内容を理解できていないことが多かったので、知識を深める時間を取るなど具体的な行動に落とし込みました。すると全員から意見が出るようになり、結果、最終プレゼンテーションは高い評価を得ることができました。

 
松井:過去の自分とは違う自分が出せた、とってもいい経験だったんですね!
 
Mさん:はい。自分が行動したことがいい結果につながったのかなとうれしくて、周りを引っ張っていくリーダーになりたいと思うようになりました。
 
増本:発信できる自分になれた。誰かのために価値を提供できる喜びを実感できたということですね。「行動すれば景色が変わる」という気づきは、とても貴重なものですよね。
まさに今のエピソードに、Mさんらしさをすごく感じました。過去の自分にはできなかった行動を起こすことは、周りにとっては小さくても、当事者にとっては勇気のいる一歩。社会に出たときに、どんなフィールドで、誰に価値を提供したいのかを伝えられれば、Mさんにしか話せない志望動機につながるんじゃないかなと思います。
 
Mさん:自分の経験から、将来なりたい自分をちゃんと伝えきれていなかったな…と気づかされました。「豊かな暮らし」や父のエピソードだけでなく、もっと自分の経験や想いに根差した志望動機をあらためて整理していきたいと思います。ありがとうございました。

 

次回:Vol.6 志望業界や企業と、自分の経験との接点はどうやって見つければいいの?

取材・文/田中瑠子

 

>前の記事へ Vol.4 Webで企業の雰囲気をつかむには?