2020.05.27

Vol.4 株式会社カイタックホールディングス 【新型コロナウイルス感染症に関する企業の取り組み】

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業と学生のコミュニケーションの在り方が大きく変化している。対面で行われていた説明会や面接などがオンライン化し、時間的・金銭的な学生の負荷は軽減。一方、「話が伝わっていないのでは?」「面接の評価が低くなるのでは?」といった学生の不安の声も大きい。そこで、すでに学生とのコミュニケーション手法の改革を実践している企業に利点や課題、学生へのメッセージを伺った。

 

面接のオンライン化により
学生の魅力をより客観的に判断できる

株式会社カイタックホールディングス
人事部 人材開発課
中野大樹さん


※記事は、2020年5月20日にオンライン取材した内容で掲載しております。
状況に応じて、内容に変更の可能性がございますので、最新状況は こちら でご確認ください。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するため、採用活動において取り組まれていることは?

 

全職種・全プロセスをオンライン化しています。当社では2019年卒採用から1次面接をオンラインで実施しており、2020年卒採用からは説明会もリアルに加えてオンラインでも開催を行い、学生が希望に応じて選べるようにしていました。新型コロナウイルス感染症の拡大への対応としては、2月中にリアルの説明会を中止。最終面接(社長面接)だけは対面で実施したいと考えていましたが、事態の長期化を見越し、3月初旬にオンライン化を決定しました。
 

オンライン説明会は、ビデオ通信システムによるライブ型と録画した映像を配信するオンデマンド型の2種類で、どちらかの視聴が必須です。前者は2020年卒採用でも導入しており、約1時間。40分ほど事業内容や当社の今後のビジョンなどの説明後、チャットで質問を受け付けて質疑応答を行っています。後者は15分ほどで会社説明をした映像で、ライブ型の開催日時にスケジュールが合わない場合も見られるよう2021年卒採用から導入しました。オンデマンド型は情報量が少なくなるので、必要と判断した場合は、個別のフォローもしています。
 

2019年卒採用から1次面接をオンラインに切り替えたのは、面接形態の変更に伴う措置です。当社では従来1次面接はグループで実施していましたが、より一人ひとりの学生と向き合うことで、当社で活躍しやすい資質を持った人材かどうかを見極めたいという意図から、個人面接への切り替えを決めました。しかし、そうなると、採用活動に必要な時間や労力が増え、人事部のマンパワーでは対応しきれない可能性がありました。そのフォロー手段としてオンライン面接を導入したわけです。おかげで、出張やセミナー会場などにかかる費用、時間もなくなり、子育て中の社員の対応もスムーズでした。
 

オンライン化していたため、新型コロナウイルス感染症拡大による採用活動への大きな影響は感じていませんが、これまで対面で実施していた最終面接については、オンライン面接に慣れていない役員が担当するため、少し工夫が必要でした。

 

最終面接のオンライン化にあたり、工夫されたことは?

 

1次面接のオンライン化を2年実施した経験から人事部で把握していたオンライン面接の特性を役員に伝え、理解を求めました。オンライン面接は画面越しに話すため、リアルと比較するとリアクションが伝わりづらく、相手が自分の話を理解しているのかわからないこともあります。そこで、私たちはリアルよりも大きくうなずいたり、はっきり返事をしたりするなど相手が不安にならないよう気をつけますが、多くの学生はオンラインでのやり取りに慣れていません。そのため、はきはきと話したり、会話のキャッチボールがタイミングよくできるなど、オンラインでのコミュニケーションに向いていたり、テクニックを知っている学生が有利になりがちです。しかし、当社は「オンライン慣れした人」を求めているわけではありませんから、オンライン面接の特性によって評価が偏らないよう気をつけています。
 

ただ、人事の専門家ではない社員がオンライン面接の特性に影響を受けない評価を徹底するのは難しい話です。そこで、事前のプロセスで当社で活躍していただけるかどうかを見極め、「この人材なら」と太鼓判を押した学生だけに最終面接を受けていただいています。また、社風とのマッチングにおいては、長年当社で働き、会社全体のことを広く見ている役員だからこそわかることもあると考えていますので、あえて細かな評価基準の設定はしていません。

 

面接のオンライン化による、応募者の反応や採用活動への影響は?

 

当社では、採用活動は入社までではなく、採用した人材が入社後に成果を出してこそ完結すると考えており、選考においてはマッチングの精度を高めるために、ロジカルな判断を重視しています。例えば、1次面接はあらかじめ決めた評価基準と質問項目に基づいて実施するカッチリとしたスタイルで行っており、これはできるだけ客観的な視点で学生の資質を見たいという考えからです。また、1次面接を通過した学生には適性検査(SPI)を受検いただいており、その結果をフィードバックする面談(受検、面談ともに2021年卒採用はオンライン)を行っています。これは客観的なデータをもとに、当社と学生がお互いの志向をすり合わせたり、その学生が当社で活躍できる資質をどの程度持っているかを一緒に確認したりするための面談です。
 

こうした面接や面談の実施を通し、採用活動においてロジカルな判断をするために、オンライン化は非常に有効だと感じています。画面越しゆえに企業側も学生も言葉でのやり取りを意識して行う傾向があるからです。また、相手の所作や容姿、声のトーンといった「雰囲気」はリアルより伝わりにくいからこそ、印象に惑わされることなく、客観的な事実に基づいて判断できると考えています。
 

学生からは「オンラインのコミュニケーションに慣れておらず、言いたいことをうまく伝えられない」という声も聞きますし、その気持ちはわかります。面接というだけで緊張するうえに、オンラインとなるとなおさらでしょう。ただ、私たちもアイスブレークの時間を長めに取るなど学生がリラックスして話せるよう心がけており、オンラインだからコミュニケーションに大きな支障が出るといったことはないように思います。
 

オンライン面接では、メモを書いた付せんを手元に準備するなどいわゆる「カンニングペーパー」を用意している学生もいますが、私は気にしていません。頻繁に目線が泳ぐなど相手が話を集中して聞きづらい状況を作ってしまってはよくないと思いますが、落ち着いて話せるよう準備をするのは悪いことではないですし、そもそも重要なのは「アドリブで話せるかどうか」ではありません。答えを用意しているかどうかにかかわらず、私たちが知りたいのは「その学生がどんな人なのか」ということ。オンライン面接だからと言って臆することなく、自分のことを伝えていただきたいです。
 

また、2021年卒の採用活動で一人の学生と接する時間は、最終面接までで約3時間。一次面接を対面で実施していたときと比べ、オンライン化によって30分前後増えています。また、必要に応じて、海外など遠方で働く社員の話を学生に聞いてもらう機会も設けています。そういった面では、コミュニケーションの質が上がっていると感じています。
 

ただ、学生に当社の社風を肌で感じてもらい、納得して入社していただくために、どこかのタイミングで対面でのコミュニケーションは必要だと感じています。

 

今後に向けて検討していること、課題に感じていることは?

 

2020年卒の新人研修をオンラインで実施し、ビデオ通信システムのグループ作成機能を使ってグループワークを行ったところ、予想以上に活発なコミュニケーションが見られ、手ごたえを感じました。この新人研修でのノウハウを活用して、2022年卒のオンライン説明会にはグループワーク取り入れることを可能性のひとつとして考えています。また、毎年、春、夏、秋にインターンシップを実施しており、2020年夏はオンラインで行う予定です。

 

就職活動を行っている学生の皆さんへ

 

就職活動において大事なのは、志望企業に自分を合わせるのではなく、自分の思いや考え方に合った企業を選ぶことだと思います。前者の場合、内定はもらえても、入社後にミスマッチを感じ、力を発揮できなかったり、長く続けられなかったりといったことも起こり得ます。例えば、当社は社員にチャレンジを求める会社なので、チャレンジ志向のある人には居心地のいい会社ですが、そうでない人にはつらいかもしれません。
 

自分はどんな人間で、どんなことをしたいのか。自分を知るのは簡単なことではありませんが、そこに向き合ってこそ、納得のいく就職活動ができます。ぜひ時間のある今のうちに自分にしっかり向き合い、自分に合う会社を探してください。そして、「自分がそこで何をしたいのか」を、自らの言葉で、覚悟を持って企業に伝えていただければ、面接がオンラインかそうでないかはまったく影響しません。悔いのない就職活動をしていただけたらと思います。

 

2021年卒学生の採用スケジュール

●総合職、総合職(システム系)、専門職(デザイナー/服飾系の大学、学部、専門学校卒対象)

エントリーシート提出→Web説明会→1次面接→適性検査(SPI)→適性検査フィードバック→役員面接→最終面接→内々定


説明会から最終面接まですべての採用プロセスにおいて「私服着用(服装は自由、スーツでも可)」と案内しており、実際に学生はさまざまな服装で参加している。学生にリラックスした状態で臨んでもらい、「素の姿」を見たいという意図がある。
(カイタックホールディングス社の社員に協力いただき、面接中に面接担当者が見る画面イメージを作成)

 

取材・文/泉 彩子