2020.05.08

Vol.1 ファーストリテイリンググループ 【新型コロナウイルス感染症に関する企業の取り組み】

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業と学生のコミュニケーションの在り方が大きく変化している。対面で行われていた説明会や面接などがオンライン化し、時間的・金銭的な学生の負荷は軽減。一方、「話が伝わっていないのでは?」「面接の評価が低くなるのでは?」といった学生の不安の声も大きい。そこで、すでに学生とのコミュニケーション手法の改革を実践している企業に利点や課題、学生へのメッセージを伺った。

 

すべての選考をオンライン化。対面式に比べ
コミュニケーションの質・量が向上する場面も

株式会社ファーストリテイリング
人事部新卒採用チーム
宗岡達朗さん

※記事は、2020年4月24日にオンライン取材した内容で掲載しております。
状況に応じて、内容に変更の可能性がございますので、最新状況は こちら でご確認ください。

 

新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、採用活動において取り組まれていること、配慮されていることは?

 

全ブランド・職種のすべての選考をオンライン化しました。2月下旬に方針を決めて移行を進め、3月から全面実施しています。

社内ミーティングや留学などで海外にいる応募者との面談のために、以前からオンラインツールを活用していましたので、選考をオンライン化するための環境整備はスムーズでした。最も力を注いだのは、オンライン化によって、学生とのコミュニケーション不足が生じるのを防ぐための取り組みです。

中でも対応を急いだのは、情報提供の量や質をできるだけ保ち、応募者の企業研究に支障が出ないようにすること。例えば説明会では、企業の事業内容や業界の動向といった基本的な情報以外にも、経営ポリシーや文化を理解していただくことが大事ですが、オンラインの説明会の場合、並列的に情報を流してしまうと、応募者の意識は前者に向きがちです。そこで、学生の応募ページに当社のサスティナビリティに対する取り組みを説明した動画などをリンクし、いつでも見られるように整備しました。さらに、説明会の後日に誰でも参加可能な“オンライン座談会”を開催し、会社の経営について深く知ってもらうための機会も設けました。

また、一度説明会の内容を作ったからといってそこで終わらせるのではなく、説明会や座談会を通して新たに出てきた学生が求めている情報に応えるために随時コンテンツを追加しています。具体的には「グローバル展開」や「ヒット商品の開発」などテーマを絞ったセミナーや、相互にコミュニケーションがとりやすい質問会付きの説明会などです。オンライン上では誰でもどこでも何度でも視聴ができるので、アーカイブにすることによって、よりオンラインの良さが発揮できると感じています。

 

オンライン化による、応募者の反応や採用活動への影響は?

 

応募者への情報提供の効率性はむしろ上がっていると言えるかもしれません。説明会で対面の質疑応答ができないので、双方向のコミュニケーションがとれないのではと懸念していましたが、ふたを開けてみると、チャットを活用することによって想定以上に活発なやりとりができています。

対面の説明会の場合、質疑応答の時間が15分だとすると、質問を受けられる人数は多くて5名、1人3分程度です。一方でチャットを利用すれば多くの人が共通して知りたいことにまとめて回答できますし、Webサイトに掲載されている関連情報などを案内することもできます。

また、オンライン化により首都圏以外に住む学生は応募をしやすくなっており、首都圏以外に住む学生の応募率が2019年同時期に比べ、5%ほど上がっています。さらに、海外駐在中の社員に説明会に登壇してもらいやすいのもオンライン化のいいところです。当社ではオンライン化の流れは、今後の説明会や選考のあり方を広げる可能性につなげられるのではないかと考えています。

 

面接での相互理解への影響は?

 

オンライン化によって個性や雰囲気が若干伝わりにくくなるのでは、という懸念はあるかもしれません。

その対策として、当社では、面接官は応募者一人ひとりの人物像をきちんと把握する工夫をしています。例えば私でいうと、面接の形式は一問一答式ではなく、「これってどう思う?」と問いかけるなど、個性やその学生の本来の雰囲気が出やすいように、ディスカッション形式での面接を主にしています。また、学生側にも会社の印象が残るように、面接でのフィードバックの時間を対面の面談よりも長めにとることを意識しています。

ただし、グループ面接については、オンラインでは十分な人材評価ができないと感じています。通常グループ面接ではほかの応募者との関係性も見られたりしますが、オンラインでは難易度が高いと当社では判断しました。そのため、現在はグループ面接を廃止し、1対1の面接のみ実施しています。結果として、従来よりも応募者一人ひとりとのコミュニケーションは深まっているのではないでしょうか。

選考全体のオンライン化により、応募者の志望度や就職活動への姿勢は顕在化しやすくなっています。志望度の高い応募者は企業研究をしっかりしてくる傾向がありますが、選考のオンライン化に伴い、応募者が情報収集をしやすいように企業側が工夫をすると、研究内容に差がつきやすくなります。また、リアルよりも言語表現が重要になるので、論理的に物事を伝えられるか、物事を洞察し考え抜いているかといったことが、対面のときと比べ評価がしやすいと感じています。

 

今後に向けて検討していること、課題に感じていることは?

 

応募者の多様な通信環境への対応と、採用を担当する社員の通信環境の整備を喫緊の課題として対応を進めています。後者は実際に選考のオンライン化に着手して初めて浮かび上がった課題です。社員の在宅勤務が拡大する中で、自宅を含めた通信環境の強化が必要です。

また、現在、検討を重ねているのは、2022年卒の学生対象のインターンシップの実施方法です。当社のインターンシップは部署での勤務を通して、チーム内外の協働作業など私たちの働き方を体感してもらうことを大切にしており、すべてをオンライン化するとなると、目指している効果を得ることが難しくなります。今後の社会状況を踏まえつつ、安心・安全を前提に、可能な限り例年と変わらない機会を学生に提供したいと考えて方策を練っているところです。

 

就職活動を行っている学生の皆さんへ

 

当社では、将来的にアパレル産業を一緒に変革していく人材と働きたいと考えて採用活動を行っており、選考手段が変わっても、そのことに変わりはありません。選考のオンライン化により、不安を感じることもあると思いますが、「ツールに慣れていない」「回線が切れて、動揺してしまった」といったことは評価に影響しませんし、企業側も皆さんをバックアップしたいと考えていますから、安心していただけたらと思います。

 

Information

2021年卒学生の採用スケジュール
ユニクロ グローバルリーダー候補社員 / 地域正社員
説明会→選考(適性検査、面接)→本部セッション→人事・最終面接→内定

ジーユー グローバルリーダー候補社員
説明会→選考(適性検査、面接)→人事セッション→最終面接→内定

プラステ グローバルリーダー候補社員 / 地域正社員
説明会→選考(適性検査、面接)→最終面接→内定

リンク・セオリー・ジャパン グローバルリーダー候補社員 / 地域正社員
説明会→選考(適性検査、面接)→最終面接→内定

 


学生との面接には、Google Meetを使用。現在、社員は自宅でオンライン面接を行っている。
(ファーストリテイリング社の社員に協力いただき、面接中に面接担当者が見る画面イメージを作成)

取材・文/泉 彩子