2019.12.20

INTERVIEW こんな人と働きたい!  Vol.20 佐藤 健さん/俳優

各界の著名人に、これまでに出会った、プロとしてすごいと思った人、影響を受けた人など「こんな人と一緒に働きたい!」と思う人物像をインタビュー。

気の合う人とだけ仕事をするのが、究極の理想です


さとう・たける●1989年、埼玉県生まれ。2008年、『ROOKIES』の岡田優也役で注目を集め、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(10年)、『天皇の料理番』(15年)、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』、『義母と娘のブルース』などに出演。20年1月2日には麦田章役を演じる『義母と娘のブルース 2020年謹賀新年スペシャル』(TBS系)が放送される。20年1月期のTBS系火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』では上白石萌音さんとともにW主演を務める。おもな主演映画に『るろうに剣心』シリーズ全3部作(12年、14年)、『バクマン。』(15年)、「何者」(15年)、『世界から猫が消えたなら』(16年)、『ひとよ』(19年)など。20年夏、主演を務める映画『るろうに剣心』最終章が公開予定。

 

「このチームなら、いい作品になる」と信じられる安心感

 

――17歳でデビューされて、2020年で15年目を迎えます。これまでを振り返り、ご自身がキャリア上の転機になったとお感じになっている作品は?

実は、僕は同じ世代の俳優さんたちと比べると、20代後半までの出演作がそんなに多くないんです。だからこそ、どの作品にも思い入れがありますし、仕事への取り組み方や役へのアプローチの仕方は毎回違います。自分の演技はこう、とフォーマットを決めるのではなく、過去のことはリセットして、その都度イチから考えて、何がベストかということを追求してきたので、一作一作が転機だったと思います。

 

――デビュー2年目で出演された『ROOKIES』(2008年)で知名度を上げ、同じ制作陣と『天皇の料理番』(15年)、『義母と娘のブルース』(18年)といった作品を手がけたり、岡田以蔵役で出演された大河ドラマ『龍馬伝』(10年)の大友啓史監督から映画『るろうに剣心』シリーズや『億男』の主演に抜擢されたりと、ひとつの作品を着実に次につなげている印象です。キャリア上の、人とのつながりについてはどうお考えになっていますか?

僕に限らず、非常に大切だと思います。僕はそのときどきで自分がやりたいと思えるものを意識的に選んできたところもあって、仕事の内容をとても重視していますが、誰と働くというのはそれ以上に大事だなと感じる瞬間もあります。

人との出会いには恵まれてきたなと思いますね。「この先もこの人たちと一緒に働きたい」と思うような人たちが周りにたくさんいます。それこそ、今、スペシャル番組を撮影中の『ぎぼむす(義母と娘のブルース)』のチームもそうですね。『ROKIES』から一緒にやってきたスタッフも多く、このチームで作る作品なら、いい作品になるって疑いなく思える。信頼関係ができているので、余計なエネルギーを使わず、安心して芝居に向き合えます。

そういう場があるというのは、非常にありがたいことだと感じます。だから、仕事をしていく上で、信頼できる仲間というのはいるに越したことはないですよね。たくさん作ろうとする必要はないと思いますけど。
 

――仲間を見つけるために大事なことは何でしょうか?

僕もよくわからないですが、出会いを大切にすることかなと思います。人にもよるでしょうけど、いわゆる「気の合う人」、一緒にいてラクだったり、ストレスなく会話ができる相手というのはそうそういない。だからこそ、そういう人に出会ったら、すごく大切にしようと僕の場合は思っています。コレはという出会いをちゃんとつかもうという意識は持っていた方がいいかもしれませんね。
 

俳優の仕事は毎回役が違うから、過去や他者と比べようがない

 


高校時代にデビューしたが、「大学には行くもの」という考えもあって進路に迷った。母の「やりたいことがないなら、別に大学に行かなくてもいいんじゃない?」という言葉を決め手に、大学には進学しないと決めたという。センター試験の申し込み3日前だった。

 

――連続ドラマ『義母と娘のブルース』では、主人公・亜希子に思いを寄せる麦田役を好演されました。今回、『義母と娘のブルース 2020年謹賀新年スペシャル』で再び麦田を演じることに対して、どのようにお感じになっていますか?

僕にとって麦田はすごく愛おしいキャラクターなので、そういう役を演じられることは、やはり楽しいですね。台本を読んでいると、なんか、面白いんですよ。物語の中で麦田が動いているのが。

麦田だけでなく、亜希子さんをはじめキャラクターが台本の時点で全員魅力的で、脚本家やプロデューサーといった方々の力をものすごく感じます。作品を作り上げていくときに、俳優の力というのは微々たるもの。皆さんの力を信じて、キャラクターの魅力をそのまま楽しく演じたいと思っています。
 

――最近は映画出演も多く、2019年は『サムライマラソン』でイギリスのバーナード・ローズ監督、『ひとよ』で白石和彌監督と初めてタッグを組む監督との作品が続きました。今後一緒に仕事をしてみたい監督は?

たくさんいます。すでに活躍されている方にはその理由が必ずあり、作品を観るとうならされます。この監督の作品に出演する機会があるなら、こんなことをしてみたいと想像することもありますね。一方で、まだ若く、あまり知られていない監督にも才能がある方がいっぱいいます。年齢や知名度にかかわらず、いろいろなタイプの監督とご一緒したいと思っています。
 

――キャリアを重ねてくると、以前共演した俳優さんと再び仕事をされることも多いと思います。同世代の俳優さんたちの成長に刺激を受けることは?

作品ごとに、共演者の方々の演技を素晴らしいと感じることはよくあります。ただ、自分を含め俳優というのは、成長がわかりにくい仕事だと思っています。というのも、俳優の仕事は毎回役が違いますよね。だから、過去と比べようがないし、正解がなく、トップを決められない。そういう世界なので、自分と誰かを比べることもありません。
 

理想の環境は、自分で作っていくことが大事だと思う

 


「もし、僕が就職活動をしていたら、『毎朝定時に出社するのは難しいから、フレックス勤務ができる会社にしよう』というように働き方を優先して会社を選んだと思います。仕事の内容も大事ですが、それ以前に、どう生きたいかを考えるべきだと僕は思っていて」と佐藤さん。

 

――さまざまなスタッフや共演者の方々と仕事をされてきて、佐藤さんが「一緒に働きたい」と感じる人たちに共通点はありますか?

さっきも話が出た、「気の合う人」でしょうか。
 

――「気の合う人」というのは話が合うとか、相性が合うということですか?

もっとざっくりとした、感覚的なものです。もちろん、自分と似た意見を持っていたり、似たタイプの人とだけ仕事をしたいという意味ではありません。例え一時的に衝突するようなことがあったとしても、お互いを尊重して、健全な議論ができる関係がいいと思います。かつ、お互いを補える関係なら、それ以上のことはないです。
 

――仕事をしていたら、気の合う人ばかりではなさそうですね。

その通りだと思います。それでも、気の合う人と仕事ができるに越したことはありません。信頼関係が深いほど、いいものができると信じて仕事に取り組め、いい作品が生まれることを実際に感じています。だから、気の合う人とだけ仕事をするのが究極の理想です。

ただ一般論として、現実にはそうはいきませんから、大変です(笑)。理想に近づくには、目の前の仕事に対して自分自身が一生懸命向き合うしかない。そのうちに、自然と周りに気の合う人が集まってくる。そういう環境を自分で作っていくことが大事だと思っています。

 

Information

2018年7月期の人気ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の続編が、単発ドラマ『義母と娘のブルース 2020年謹賀新年スペシャル』として放送される(20年1月2日(木)夜9時〜11時20分)。連続ドラマの1年後を描くオリジナルストーリーで、佐藤さんが演じて話題になった「麦田」ももちろん登場する。物語は、大阪でバリバリ働いていた主人公・亜希子(綾瀬はるか)が突然会社から解雇を宣告されて帰京し、久しぶりに娘・みゆき(上白石萌歌)の部屋を訪れたところ、風呂場からタオル1枚の姿で、赤ちゃんを抱えた麦田が…という展開。その先が楽しみだ。

 


取材・文/泉 彩子 撮影/刑部 友康
スタイリング/山本隆司 ヘア&メイク/古久保英人

 

「INTERVIEW こんな人と働きたい!」バックナンバーはこちら