2019.06.03

INTERVIEW こんな人と働きたい!  Vol.14 藤木直人さん / 俳優

各界の著名人に、これまでに出会った、プロとしてすごいと思った人、影響を受けた人など「こんな人と一緒に働きたい!」と思う人物像をインタビュー。

ユーモアや愛嬌のある人と仕事をすると、和みます


ふじき・なおひと●1972年、千葉県出身。早稲田大学理工学部情報学科卒業。在学中の95年、映画『花より男子』でデビュー。その後も、NHK連続テレビ小説『あすか』やフジテレビ『ナースのお仕事』シリーズをはじめ数々のドラマ、映画に出演。2008年『冬の絵空』で初舞台を踏み、舞台でも活躍。日本テレビ『おしゃれイズム』や、JFN系列ラジオ『TOYOTA Athlete Beat』ではメインパーソナリティを務めるなど、活躍は多岐にわたる。19年度前期NHK連続テレビ小説『なつぞら』では主人公の義理の父親・柴田剛男役を演じている。また、音楽活動も精力的に行っており、1999年にCDデビュー。2019年6月19日には、音楽デビュー20周年記念オリジナルアルバム『20th -Grown Boy-』をリリース。同年7月からは全国ライブツアー「Naohito Fujiki Live Tour ver12.0 ~20th-Grown Boy-みんなで叫ぼう!LOVE!!tour~」を開催する。

 

コミュニケーションを取って仲良くなった方が、やっぱり仕事はやりやすい

 

――NHK連続テレビ小説『なつぞら』では、ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)の育ての父・柴田剛男という重要な役どころを演じていらっしゃいます。『なつぞら』は撮影期間が約1年と長く、共演者の方々と一緒に過ごす時間も通常のドラマよりも多かったのでは?

ヒロインを務める広瀬さんと違って、僕たちはずっと撮影があるわけではないので、意外と皆さんとじっくりお話しする機会は少ないんですよ。ただ、『なつぞら』は北海道ロケがあったので、その期間は食事をご一緒したりしましたね。そう言えば、オフの日に松嶋菜々子さん(剛男の妻・富士子役)や音尾琢真さん(剛男の牧場で働く戸村菊介役)とわかさぎ釣りにも行きました。

 

――わかさぎ釣り、ですか。

音尾さんとは釣り好き同士で話が合って。ロケの2日目にいきなりオフができて、「どうしようかな」と思っていたときに「地元の方がわかさぎ釣りをセッティングしてくれるそうなので、行きませんか?」と誘ってくれたんです。そうしたら、「松嶋さんも来ます」ということになって、みんなで一緒に行ったんですけど、わかさぎは早朝に釣れるのを知らなくて…。現地に到着した時間が遅く、あまり釣れませんでした(笑)。でも、楽しかったです。

 

――そういったオフでのコミュニケーションも撮影現場の雰囲気に影響するものですか?

コミュニケーションを取って仲良くなった方がやっぱり仕事はやりやすいし、まあ、オフの方が打ち解けやすかったりはするんじゃないかな。ただ、ロケでもない限り、皆さんほかの仕事もあったりしてスケジュールを合わせるのが難しいですよね。

作品の撮影が終わると打ち上げがあって、そこですごく仲良くなったりするんですけど、なんだかもったいないなという思いがあって。どうせなら、撮影前や撮影中にそういう機会があった方が早めにチームワークが良くなったりするじゃないですか。だから、「なるべく早い時期にみんなで食事できるといいですよね」とドラマのスタッフさんに提案することもあります。まあ、いろいろと事情がありますから、実現したり、しなかったりですけれども。

 

音楽デビュー当時の自分の世界観を作ってくれた大きな存在

 


俳優として多忙を極める一方、音楽活動のライブ本数はこれまでに200 本以上。2019年も11公演の全国ツアーを行う。「自分はミュージシャンとして何かを語る立場じゃない」と謙虚に話すが、音楽活動への思いには並々ならぬものがある。

 

――俳優業と並行して音楽活動を続けていらっしゃって、今年は音楽デビュー20周年ですね。

20年間も好きなことを続けてこられたことに、すごく感謝しています。本業は俳優だと思っていますし、音楽のプロの世界というのは僕なんかよりも音楽が好きな人、音楽の才能がある人がいっぱいいて、それでもほんのひと握りしか生き残れないわけじゃないですか。だから、僕はミュージシャンとして何かを語るような立場ではありませんが、僕がギターを弾いたり、ライブで何かをするということに対して応援してくれている人たちがいる限り、続けていきたいと思っています。

 

――2019年6月19日に発売される20周年記念アルバム『20th -Grown Boy-』には、音楽デビュー期にプロデュースを担当されていた寺岡呼人さんも楽曲提供で参加されていますね。当時、寺岡さんからどのような影響をお受けになりましたか?

呼人さんは僕と年齢はそんなに違わないのに、「JUN SKY WALKERS(ジュン・スカイ・ウォーカーズ)」という素晴らしいバンドですでに一時代を築かれていて、途方もなく大きな存在でした。振り返ると、僕の最初の世界観を作ってくれたのはやっぱり呼人さんだよなと思います。

ただ、当時は葛藤もありました。僕の作った拙い曲の中から呼人さんがデビューシングルのカップリング曲を選んでくれたのですが、大幅に直されて。自分としては自分の作り出すメロディーというものを信じているわけじゃないですか。だから、自分を否定されたような気がして、すごくショックでした。まだ僕は子どもだったので、「どうしてこうなったんですか」と呼人さんに聞いて、「こっちの方がいいじゃない」と一蹴され、ぐうの音も出ないというような感じでした。だけど、セカンドシングルのカップリングになった「シナモン」では僕の作ったフレーズが採用されていて、「いいものを作れば認めてくれるのかな。呼人さんに『これでいいよ』と言われるような曲を作りたい」と思いました。ずいぶん後になってその話をしたら、「あ、そんなこと言った? 僕も若かったしね」とおっしゃっていましたけれども(笑)。

今回は20周年ということでこれまでの道のりだったり、ファンの方たちに対しての思いだったり、楽曲を提供してくださった皆さんには、それぞれの魅力にあふれる曲を作っていただいたのですが、呼人さんは「Never end」というタイトルで、これからのことを書いてきてくれました。僕自身はどちらかというとネガティブな人間なのですが、呼人さんの持つポジティブさはすごいなと。素晴らしい曲を書いてくださって、うれしかったです。

 

一緒に仕事をする人たちはみんなプロ。僕が何か言える立場じゃない

 


「俳優というのは、いくら自分がずっと続けたいと思っていても、指名してもらわなければ続けられない。そういう意味では20年以上も俳優を続けてこられたというのは幸運なことだし、ありがたいことだと思っています」。

 

――今回のアルバムには2017年に主演された舞台『魔都夜曲』のメインテーマ「オピウム・ラヴァーズ」のカヴァーも収録されています。『魔都夜曲』は藤木さんの所属事務所「キューブ」の20周年記念公演でしたね。

出演者のほとんどが同じ事務所の先輩・後輩という、普段はあり得ない公演でした。長年のおつきあいのある先輩たちの前で演じるのは緊張しましたが、皆さんとすでに関係性を築けていたので、そこに助けていただいた部分がいっぱいありました。

 

――そうやってテレビドラマ、舞台、音楽活動と幅広く活躍される中で、藤木さんが「一緒に働きたい」と感じる人の条件みたいなものはありますか?

「条件」なんて、僕なんかが言える立場ではないかなと思います。俳優の仕事にしても音楽活動にしても、ご一緒させていただく方たちはスタッフを含めてみんなプロですから。それに、俳優というのは向こうから選ばれて初めて成立する仕事だと僕は考えていて。

ただ、ユーモアや愛嬌がある人と仕事をすると和みますし、助けられます。とくにテレビドラマの撮影というのは1話撮るのに1週間以上かかることも普通で、「働き方改革」の影響で以前ほどではないにしても、朝から晩までかかる作業なので、現場がピリピリすることもあります。そういうときにちょっとしたひと言やたたずまいでみんなを和ませてくれる人はありがたいなと思います。

 

Information

2019年6月19日には、音楽デビュー20周年記念オリジナルアルバム『20th -Grown Boy-』をリリース(初回限定盤:DVD&20周年記念オリジナルグッズつき 本体価格5500円+税。写真は通常盤:本体価格3000円+税)。同年7月からは全国ライブツアー「Naohito Fujiki Live Tour ver12.0 ~20th-Grown Boy-みんなで叫ぼう!LOVE!!tour~」を開催する。「ファイナルの河口湖ステラシアター(2019年8月31日開催)は屋根が開くそうなので、いつもと違った雰囲気のライブになると思うし、月の下でピアノを弾きたい曲があるので絶対晴れてほしいです! まぁピアノは今から練習するんですけど(笑)」と藤木さん。

 

取材・文/泉 彩子 撮影/鈴木慶子

 

「INTERVIEW こんな人と働きたい!」バックナンバーはこちら