就職白書 2014

就職・採用活動の振り返りや、
よりよい就職のみらいに向けた研究・展望などを発信

『就職白書2014-インターンシップ編-』ポイント解説
【第1回:企業編】――就職みらい研究所 主幹研究員 江田佳子

 就職みらい研究所が、就職・採用活動の振り返りとして調査を実施し年に一度リリースを行っている『就職白書』。

 今回は、今年3月に発表した『就職白書2014』(2014年卒の大学生・大学院生の採用活動振り返り調査)の中から、これから夏にむけて本格化する「インターンシップ」に関する調査発表について解説します。

※ 本調査は、「全国の新卒採用を実施している従業員規模5人以上の企業4,303社」を対象に調査を実施しています。詳細はリリース資料内の調査概要をご覧ください。

まずは、【第1回:企業編】から。学生編は7月上旬の掲載を予定しています。

『就職白書2014-インターンシップ編-』のリリース資料はこちら [PDF DL 340.4K]

<企業動向サマリー>

  • 2012年度に比べ、2013年度はインターンシップを実施する企業は増加。
    1社が受け入れる学生数も拡大。

  • 2012・2013年度と継続でインターンシップを実施した企業に比べ、
    2012年度は実施無しで2013年度に実施した企業は、
    3日~1週間、1日、2日といった短期間での実施を選ぶ傾向がある。

  • 実施目的は「業界・仕事の理解促進」が前年度の2位から1位に。
    学生に対して「業界・仕事・職種・企業研究」の不十分さを感じている企業の
    多さや、2016年卒からの就活スケジュール変更も背景にあるようだ。

企業のインターンシップ実施状況

実施率は上昇傾向。
従業員規模が大きい企業ほど実施率が高く、実施率の伸びも大きい。

 企業のインターンシップ実施状況を見ると、2013年度に実施した企業は43.5%(※1)と、前年度比で4.5ポイント増えています。過去の調査から見ても、実施率は伸びてきており、拡大基調にあります。

 ここ数年は、官庁や大学、地方自治体などさまざまな方面からインターンシップ実施を後押しする動きも増えており、今後も実施企業数の拡大傾向は続くとみられています。

 インターンシップ実施状況を企業の従業員規模別に見ると、従業員規模が大きい企業ほど実施率が高いという結果が出ました。中でも、5000人以上の大規模企業においては、前年度比で12.9ポイント増加しています。

 さらに、インターンシップ実施率が上昇している一方で、「受け入れ人数を増やした」と回答した企業も28.5%(減らした企業は7.6%)。企業によるインターンシップの総受け入れ人数はかなり拡大しているようです。

(※1)実施率は本調査回答企業全体の集計で、企業規模・業種などの存在比に合わせたウエートバックは行っておりません。詳細はリリース資料内の調査概要をご覧ください。

インターンシップ実施期間

最も多いのは「1週間以上2週間未満」。
新規実施企業(※2)は「短期間」での実施を選択する傾向があり、2012年度から2013年度では1週間未満での実施率が上昇している。

 2013年度、インターンシップの実施期間で最も多かったのは、「1週間以上2週間未満」の37.2%、次いで「3日以上1週間未満」の34.2%でした。

 ただ、前年度と比較すると、「1週間以上2週間未満」と答えた企業は2.6ポイント減少。2週間以上のところも総じて減少しています。逆に「1日」、「2日」という企業は、比率自体は小さいものの前年度に比べて数を伸ばしており、「3日以上1週間未満」の企業も0.6ポイント増えています。

 データを詳しく見てみると、一週間以上の長期のインターンシップを実施する企業が減っているというよりは、「2012年度にインターンシップを実施していなかったが、2013年度に実施した企業」が短い期間を選択している、という理由が大きいようです。

 「2013年度のみ実施した企業」を見ると、「1日」、「2日」と答えた企業が38.2%。「3日以上1週間未満」の回答も合わせると、実に全体の80.8%。つまり、“インターンシップ新規参入組”が、短期間インターンシップの比率を上げていると言えそうです。

 その理由には次の項で触れますが、「新たにインターンシップを実施する企業は、インターンシッププログラムの企画・設計の負荷が高いと感じる」ことが影響しているようです。

(※2)本調査では、2012年度、2013年度のインタ-ンシップの実施状況や実施期間などを企業に質問しています。ここでは2013年度のみ実施企業を「新規実施企業」と表現しています。

インターンシップ実施目的/苦労や懸念点

「業界・仕事の理解促進」との回答がNo.1に。
新規実施企業は「プログラムの企画・設計」に苦労

「インターンシップの実施目的」を見ると、「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」が最も多く、前年度のトップ「学生に就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」と順位が入れ替わりました。

 このことは企業が学生に対し『「業界研究」「仕事・職種研究」「企業研究」が不十分』と感じているということに関連があるのではないでしょうか(※3)。学生の「業界研究」「仕事・職種研究」「企業研究」不足に対し、企業が自ら解消に動いているととらえることが出来そうです。

(※3)『就職白書2014-採用活動・就職活動編-』内「企業の応募学生に対する評価」より

 また、2016年卒からの就活スケジュールの大幅変更も影響していそうです。就職・採用開始時期が繰り下げられることで、事前の「業界・仕事理解の機会をしっかり設けたい」という思いがあるのではないでしょうか。

 一方、「インターンシップを実施する際の苦労や懸念点」については、「社内協力者の巻き込み」との回答が最も多く、次いで「プログラムの企画・設計」となりました。

 この調査を、2013年度のみの新規実施企業と、2012・2013年度と継続して実施している企業と比較してみると、10ポイント以上の差があったのは「プログラムの企画・設計」「参加者の募集・選考」「プログラムの実施」の3項目。特に2013年度のみ実施企業では「プログラムの企画・設計」は86.8%もの企業が苦労や懸念点として挙げており、新規実施の際の大きな壁(課題)となっているようです。この点が、実施期間の短期傾向にも影響していると思われます。

 就職みらい研究所では、『就職白書』以外においても、インターンシップに関しての調査や取材などを行っています。

 今後、さらなる拡大が予測される、インターンシップの実施、ならびに学生の参加。私たちは、インターンシップが学生にとっても企業にとっても、より有意義なものとして発展していくことを目指し、さまざまな情報を発信していきたいと考えています。

 今回は、企業調査部分を解説いたしました。次回は学生編を掲載(7月上旬予定)しますので、ぜひご覧ください。

※本記事で取り上げた以外のデータも、リリース資料に掲載されています。
 興味がある方は、ぜひご覧ください。

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