試職(シショク)

就職先決定の前に、仕事や職場を試す。
就職先選びの新たなトレンド。

『試職(シショク)』を導入した事例 ~日本コロムビア株式会社~

1週間の社内外に対するヒアリングとプレゼンテーションなどで、
業務フロー・仕事・社風が見える、有償型インターンシップ。

 新たなトレンドである『試職(シショク)』を通じた就職/採用活動。この取り組みは、学生と企業のマッチングの進化へのブレークスルーとして機能し始めている。今回はその事例として、日本コロムビア株式会社の人事部 マネージャーの神崎 正人さんと、人事部の荒井 祐貴さん、3年前に『試職(シショク)』を体験した第3マーケティング部 穴井 健太郎さんへのインタビューを行った。

人事部
マネージャー
神崎 正人さん
人事部
荒井 祐貴さん
第3マーケティング部
穴井 健太郎さん
社名(所在地) 日本コロムビア株式会社(東京都港区)
会社情報 オーディオ、ビデオ、ゲームソフト等の制作、宣伝、販売、アーティストのマネジメント
主な募集職種 総合職(営業・制作・宣伝・管理・スタジオ技術部門)
従業員規模 従業員299名
採用人数
(試職参加)
3~5名程度
(10名、5名ずつで2クール実施)

『試職(シショク)』導入の背景

“採用選考自体”のクオリティーの向上を狙う。

 同社では2011年卒の採用から採用フローに『試職(シショク)』の機会を設けているが、「今までの採用フローや採用の結果への不満があったわけではなく、より高いクオリティーを求めて開始した」 (神崎さん)とのこと。 ここでいうクオリティーとは“採用選考自体”の質の向上を指しており、背景には以下のような課題観があったようだ。

 「書類選考、面接(20min)、説明(1h)という中での選考ではお互いに理解し合うことに限界がある。また、面接の場だけではお互いに本当に知りたいことがわからないのではないかという感覚があった。」(神崎さん)

 「学生からしても“やりがい” や“風土”といった部分は肌で感じなければわからないのではないかと思う。」(神崎さん)

『試職(シショク)』の内容

 同社では、最終選考の手前の「インターンシップ(1週間)」と「インターンシップ発表(最終選考) 」が『試職(シショク)』に当たる。

<概要>

名称は「インターンシップ」で、この期間は報酬と交通費を支給、学生とは守秘義務契約も結んでいる。期間内は社内に席を設け、PCと電話を与える。

 1週間の中で、①:課題作業、②:若手社員面談、③:現場体験 を行い、終了後別日程で ④:インターンシップ発表(最終選考) へ進む。

①:課題作業

 学生には『当社の現状を理解し、必要に応じて今後の提案を行ってください』といった課題が与えられる。基本的に課題解決へのプロセスは自由。社内外で情報収集をして自分なりのプレゼンテーションができるようにワークを進めていく。
 参加した学生は、課題として与えられた分野のさまざまな職種の方にインタビューを申し込み、アポイントを取る。結果、学生は社内外で20件ぐらいのヒアリングを行っている。

②:若手社員面談

 期間中に3回(1h)ほど若手社員面談として、学生5人に社員1名で会話を行う。学生の情報収集状況を聞いたり、若手社員が自分の仕事について話をしたりする。

③:現場体験

 コンサートの現場でのCD販売に参加。場合によっては打ち上げへの参加もあるとのこと。

④:インターンシップ発表(最終選考)

 個々にプレゼン資料を準備して発表。映像やボーカロイドを使った歌を作ってくる学生もいれば、さまざまなヒアリングをもとにリスクやコストなど深く分析してくる学生もいる。

『試職(シショク)』導入の成果

 『試職(シショク)』の導入成果(メリット)は学生側・企業側ともにあり、
以下のような内容が挙げられる。

学生側

自ら動いて仕事の流れを見ることができ、リアリティーと意欲の向上に。

 3年前に体験した穴井さんへのインタビューで以下のようなコメントをいただいた。

  • どんな仕事かまるで分からなかったので、それを見られるということで楽しみにして参加。
  • 課題として与えられた分野の、制作⇒宣伝⇒販促⇒営業⇒販売の全てをヒアリングして回り、コンサート後の販売に参加した。仕事にリアリティーが持ててイメージが変わった。業務を一通り聞いて回ったので、この仕事をやるんだというイメージが持てた。
  • 音楽を市場に届けるうえで多くの人が関わっていることが分かった。
企業側

面接では得られない面が見えて、採用選考の質は向上。さらにさまざまな波及効果も。

 人事の立場からは以下のような成果(メリット)が聞かれた。

  •  プログラムの中で、面接では見えない積極性の「量と質」、さらにはそれを発言する際のコミュニケーション(本当にキャッチボールができているか)が見えてくる。
  • その学生が育てたくなるレベルの人物であるかを見ることができる。
  • いきなり行動する人や、考えてから動く人などいろいろな特徴が出る。

 また、採用選考のクオリティーアップというテーマ以外にも波及効果が生まれており、以下のような点を聞くことができた。

  • インタビューなどを受ける社内も良い反響をもらっている。学生からのインタビューを受けることにより、社員自体も自分の仕事について振り返ったりなどのチェックができる。改めて頭の整理ができるとのこと。
  • 以前は一定数の離職があったが、導入後の早期離職はなくなった。
  • 内定辞退もほぼなくなった。
  • 記念受験的な学生も多く集まってしまう業界だが、(1週間のインターンシップは学生に対する負荷も大きいので)事前スクリニングの効果もある。人数を絞り込めて結果的に効率化できた。

事例収集・研究担当の着目点

 このケースは、「選考自体のクオリティーをあげる」という狙いを、『試職(シショク)』で実現しています。学生にとって『試職(シショク)』で行う、情報収集やプレゼンテーション準備は、社内の状況や仕事の進め方などを知り学んでもらう機会となり、仕事のやりがいや社風を肌で感じてもらえそうです。企業としては、最終選考のプレゼンテーションまでの工程の中で、学生の持つ特性をつかみ、通常の採用選考プロセスでは見えない部分を引き出すことに成功しています。相互理解の高まりが期待できるプログラムだといえそうです。また、結果的に採用の効率化が進んでいることも興味深いポイントです。

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