調査結果

【第1回 2016年卒業生の就活を知る】
2016年卒業生から新たな就職活動スケジュールがスタート
(2016年卒業生対象の新スケジュール版)

 就職みらい研究所は、就活生へのアンケートを定期的に実施しています。その傾向を見ると、就活には保護者と就活生のコミュニケーションが大切なことや、一方で両者には意識のギャップがあることなどがわかってきました。 また現在の就職活動は、保護者世代のものとはその手順、内容、スケジュールなどがかなり異なります。やるべきことは多岐にわたり、「保護者世代の頃より大変」と考えてまず間違いないでしょう。

 そこで、保護者と就活生の距離を近くし、就活生を応援するため、本連載「保護者のための就活講座(合計10回)」を連載していきます。本連載は2015年卒業生向けに昨年度掲載したものを、2016年卒業生から始まる新スケジュールに合わせて一部改訂したものです。安心して就活生を見守り、応援していくための参考になれば幸いです。

 まず第1回は、「就活のスケジュール」についてです。前述のとおり2016年卒業生の就活は、前年までとは異なる新スケジュールで実施されます。企業・学生・大学のいずれにとっても初めて体験するスケジュールとなりますので、「活動中の適切な情報収集」も大事になりそうです。まずは、2016年卒業生の新・就活スケジュールと、企業側の採用活動計画について把握していきましょう。

一般的な就活生の「新・就活スケジュール」

 2016年卒業生から採用スケジュールが大きく変更になり、上の図のようなスケジュールとなります。採用広報開始の時期は、今までの「3年生の12月」から「3年生の3月」へと3カ月後ろ倒しとなり、選考スタートは「4年生の4月」から「4年生の8月」に変わります。(変更内容は下図参照)スケジュール変更の初年度となるため、企業は今までの慣例を当てはめることができず、手探りの選考活動になると予想されるので注意が必要です。

※1:広報活動は、採用を目的とした情報を学生に対して発信する活動です。また、この期間内にはエントリーシートの提出やWebテストなどによる事前スクリニングも実施されます。

※2:採用選考活動は、採用のための実質的な選考を行う活動です。面接などの、採用のために参加が必須になる活動を指します。

 2016年卒業生向けの企業の採用広報は、2015年3月1日から始まります。これを見て就活生がインターネット等で「プレエントリー」するのが一般的です。プレエントリーをすると企業からは会社説明会などの情報提供があり、就活生はこれらに参加して企業を知り、就職先としての比較・検討を行います。

 このようにして働きたい企業を絞り込み、意中の企業にエントリーシート(以下ES)を提出します。保護者世代の「応募書類」は履歴書が中心でしたが、現在では「志望動機」「自己PR」「学生時代に力を入れたこと」などをESにまとめて、別途提出することが増えました。企業により項目やスタイルが異なり、書類選考上も重視されるため、ESの作成に就活生はそれなりの労力と時間を使います。

 その後、筆記試験や面接などの選考が始まり、8月からは内々定・内定が出始めます。ただ、焦りは禁物です。選考スケジュール変更前の2015年卒業生の場合、選考開始は2014年4月でした。4月1日時点での内々定・内定の割合は18.5%、その後5月1日時点で47.7%、6月1日時点で61.3%、7月1日時点で71.3%と、卒業までの間に徐々に高まっていきます(株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所調べ ※調査概要は下記参照)。

 これを仮に2016年卒業生のスケジュールに単純に当てはめると、10月時点でようやく過半数の学生に内定が出る、という計算になります。もっともスケジュール変更初年度ということで、具体的な予測は困難ですが、活動終了時期は人それぞれ。一喜一憂することなく、見守っていきたいものです。

 一方事前準備として、就業体験の「インターンシップ(※)」(2014年の夏がピーク)や、先輩を訪ねる「OB・OG訪問」をする学生もいます。また3月の広報活動開始の前に、自己分析や企業研究などに取り組む学生もいます。学生たちはさまざまな行動により、「仕事」や「会社」への理解や「自分のキャリアについての考え」を深めていくのです。

(※)インターンシップ:「インターンシップ」は、100年以上前の米国で就労体験型学習プログラムとしてスタートしたものです。日本では、1980年代には外資系など特定の企業で実施されていましたが、平成9年に当時の文部省、通産省、労働省の3省が「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を発表し、広く知られるようになりました。2016年卒業生からの就職・採用活動開始時期の繰り下げに伴い、インターンシップを増枠、あるいは新規実施する企業が目立ち、学生の関心も一層、高まっているようです。

「自分世代のイメージ」は捨てて、急かさず、比べず、見守りたい

 保護者世代は自分の就職活動の経験を基に、就活生に接しがちです。例えば、現在50歳前後の保護者ですと、四年制大学なら1980年代の卒業。景気の波はあれども右肩上がりの時代で、多くの企業は終身雇用を前提に学生を積極採用していました。

 しかし、社会は大きく変わりました。「2人に1人は大学生」と言われるほど大学生は増え、産業構造は変化し、企業はグローバル化を進めています(詳細は第2回で説明)。その結果として新卒の有効求人倍率は低くなり、保護者世代と比べて今の就活生は、大変な環境に置かれていると言えます。

 この現状に気付かない保護者への不満を、2014年卒に向けて就活した学生へのアンケートから抜粋してみましょう(株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所調べ ※調査概要は下記参照)。質問内容は「保護者の関与で、辛かったこと・やめてほしいと思ったこと」です。

  • 「もっといい会社を選べばと言われた。就職難で難しいのにそれを理解されない」(関東・文系)
  • 「ベンチャー企業も多く、働き方も多様化してきている中、企業規模の大小や、将来の安定性に言及するのはやめてほしい」(関西・文系)
  • 「兄弟と比較されることが辛かったです」(関東・文系)
  • 「自分でも早く決めなくてはと思っているが、まだ終わらないのかと毎日聞かれた」(関西・理系)

 保護者は自分たちの時代の感覚で今の就活を見ているため、「なぜ早く決まらないのか」、「なぜ(自分たちにとって)著名でない企業に応募するのか」などがわかりにくいもの。そこで就活生を急かし、他人と比較し、有名大手企業に行けと言ってしまう。
 しかし、そこをぐっと我慢して、現在の就活を知り、接し方を考えてみてはいかがでしょうか。

3月から一気に活動は活発に。事前に就活準備をする学生も。

 前述したように、2016年卒業生から就職・採用活動のスケジュールが大きく変わります。そこで新卒採用を行っている企業へ「2016年卒業生に対する採用スケジュールの計画」をアンケート調査してみました。

 昨年の調査では、「採用広報開始」の2か月後に「説明会・セミナーの開催」のピークとなっていましたが、2016年卒の場合は「採用広報開始」の3月にさっそく「説明会・セミナーの開催」を予定している企業が多いという結果になりました。まだ、採用活動の計画を決めていない企業も多いのであくまで予測ではありますが、3月に採用広報がスタートしたら、プレエントリー、説明会参加、ES提出などが矢継ぎ早に進むことになる可能性が高そうです。

 もっとも、就活という枠にとらわれず、3月より前から進路選択のために準備を進める学生も多くいます。自己分析や業界研究・企業研究、インターンシップやOB・OG訪問、社会人と接して自分のキャリアについて考える・・・といったことは、納得できる進路選択のためにも効果的なのではないでしょうか。

 では、保護者はこの時期の彼らをどうサポートできるのでしょう。そのヒントを2014年卒業の就活生のコメントに見てみましょう。

  • 「自分より先に社会に出ている身近な大人なので、平均的な企業の規模や制度など、リアルな社会情報を知ることができた」(関西・文系)
  • 「父と相談することで、一般的な就活本では言及されていない、会社選びのポイントを知った。」(東海・理系)
  • 「自己分析に協力してもらいかなり助かりました。自分のことをよく知っている親なので、いろいろアドバイスをしてもらいました」(中四国・文系)
  • 「プレッシャーにならないよう、家族から就活の話をしないという心遣いを感じました」(関東・文系)

 保護者の立場よりむしろ、「身近な社会人としての視点」や「自分をよく知る大人としての助言」を歓迎するようなコメントが目立ちます。保護者世代のときも、同じような気持ちだったかもしれません。スケジュール変更の初年度で、就活生も不安を感じるかもしれませんので、できるだけ温かく見守ってあげたいものですね。

       ※ 本記事内に使用している調査データやコメントは以下の①②の調査より抜粋しています。
       ① 大学生の就職内定状況調査(4月~10月度)  ② 就職活動中間振り返り調査(2014卒)
         ≪目的≫    大学生における就職活動の実態を把握する ①②共通
         ≪調査方法≫  インターネット調査 ①②共通
         ≪調査対象≫  就職活動を行った2014卒3月卒業予定の全国の大学生・大学院生 ①②共通
         ≪調査期間≫  ① 各実施月の上旬  ② 2013年6月12~17日

10回連載の第2回目は、『保護者の世代と違います①「就活マーケット編」』です。
保護者世代と今の就活生とのさまざまな差を、各種のデータから読み解いていきます。

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